このページでは一つのキーボードをUSB分配器を使用して複数のWindowsPC/Macを同時に入力することの検証を記事にしました。
弊社で保有している2つの機器を検証しました。
1台のパソコンに対して1つのキーボード
日常でパソコンを使用していてキーボード入力をする時に、1台のパソコンに対して1つのキーボードがあることが普通だと思います。
しかしライブやイベントで映像機器をオペレーション(操作)する時に、「一つのキーボードで複数パソコンの同時入力」が出来たら良いのに・・・と考えることがあります。
例えばPowerPointというプレゼンテーションソフトでスライドショーをオペレーションしているとき、日本語のスライドショーと英語のスライドショーを同時に進めて行く必要な時があります。
一つのキーボードで複数パソコンの同時操作が出来れば、オペレーターの削減やオペレーションミスを防ぐことにつながります。
USBを分配することは出来るのか?
パソコンへのキーボード接続というのは大まかに、USB接続の有線式か、Bluetoothや2.4GHzの無線式に別れます。
無線式はライブやイベントでの本番時には、もし電池が切れたら?もし電波での接続が切れたら?などの懸念事項があり使うことにためらいが生まれて、USB接続の有線式を使用することがリスクを減らすことにつながります。
「一つのキーボードで複数パソコンの同時入力」をUSBキーボードで実現しようとするなら、「USB分配器」というジャンルの製品があれば良い気がします。
USBハブはUSB分配器?
USB分配器をネットで検索すると大抵は「USBハブ」という製品がヒットします。
確かにUSBハブはUSB分配器でありますが、1つのパソコンに接続してUSBの接続口を増やして複数のUSB機器を接続するためのものです。
USBハブでは1つのUSB機器(キーボード等)を複数のパソコンから同時に使用することは出来ません。
USBという規格が、そもそも周辺機器をパソコンの外部で接続するために設計されたインタフェースであるため、その周辺機器であるキーボードが複数のパソコンに同時接続することを想定していないことによるものです。
USB分配器として機能するKVMスイッチ
しかしそういうニーズもあるようで、探すといくつかUSB分配器として使用できる製品もあります。
弊社が所有している機器のご紹介、検証をします。
UNIMUX-USBV-4O
この製品は、KVMスイッチと呼ばれるカテゴリーの機器となります。
複数パソコンをこのKVMスイッチにつなぎ、1セットのキーボードとマウスもKVMスイッチにつないで、切り替えボタンを押してコントロールしたいパソコンを選び、操作するための機器です。
UNIMUX-USBV-4Oの接続ポート側。2つのUSB Aポート、4つのUSB Bポート、4つのアナログRGB入力ポートがあります。
USB Aポートにはキーボードやマウスを接続し、USB Bポートには制御したいパソコンを接続します。(4台のパソコンを接続、制御できます)
Broadcastモードで一斉送信
このUNIMUX-USBV-4Oは、モードの設定を「Broadcast」にするとキーボードからのキーコードが、つないである複数のパソコンに同時に送ることが出来ます。
まさにUSB分配器としての機能となります。
残念ながらこのモードだとマウスが動きません。
UNIMUX-USBV-4Oの動作確認
WindowsPCでは、PowerPoint 2016で確認。
2台のパソコンに同じPowerPoint書類をコピーしてスライドショー再生で同時操作が出来るかを確認しました。
また、テキスト入力で同時入力が出来るかの確認をしました。
2台のWindowsパソコンとUNIMUX-USBV-4Oを接続し、1つのキーボードから同時に動作するかを検証しました。
続いてMacbook Proで、keynoteで確認。
2台のMacbook Proに同じkeynote書類をコピーしてスライドショー再生で同時操作が出来るかを確認しました。
また、テキスト入力で同時入力が出来るかの確認をしました。
UNIMUX-USBV-4Oの動作結果
- Windows PowerPoint スライドショー再生動作:OK
- Windows テキスト入力動作:OK
- Macbook Pro Keynote スライドショー再生動作:OK
- Macbook Pro テキスト入力動作:OK
動作としては、WindowsとMacでもどちらも動作出来ました。
このUNIMUX-USBV-4Oはかなり昔からある製品で、弊社でも現場に持っていってGrass Valley社のT2というデジタル・ディスク・レコーダーの同時再生などに使用しており、機器として安定した実績があります。
残念なのが、Broadcastモードですとマウス操作が出来なくなります。
UNIMUX-USBV-4Oの動作確認の動画です
続いて最近入手したUSB分配器をご紹介します。
USB Syncronous Controllerという製品
FJGEAR FJ-US108
FJ-US108は中国製で、USBシンクロナイザーというカテゴリーの製品です。
パソコンと接続するとUSB給電されますので、電源ケーブルが必要ありません。
またUNIMUX-USBV-4Oと比べるとかなり小さくなっております。
このFJ-US108は、8台までのパソコンと接続することが出来ます。
フロント側にはUSB Aポートが2つあり、キーボードとマウスがつながるようになっています。FJ-US108はマウスも同期操作が出来ます。
背面側はUSB Bポートが8つあり、それぞれパソコンに接続されます。
パソコンとFJ-US108が接続されるとその番号に対応したLEDインジケーターが青く光ります。
フロント側には2つのボタンがあり、SWICHボタンを押すと接続されたパソコンが順番にキーボードとマウスが使用できるようになります。
LEDインジケーターが点灯している番号に接続したパソコンだけがUSB機器を使用出来ます。
SYNCボタンを押すと一斉動作が可能となります。LEDインジケーターは接続されているパソコンの番号がすべて点灯します。
FJ-US108の動作確認
FJGEAR FJ-US108の動作結果
- Windows PowerPoint スライドショー再生動作:OK
- Windows テキスト入力動作:OK
- Windows マウス動作:OK
- Macbook Pro Keynote スライドショー再生動作:OK
- Macbook Pro テキスト入力動作:OK
- Macbook Pro マウス動作:OK
こちらも動作としては、WindowsとMacでもどちらも動作出来ました。
FJ-US108は入手したばかりで、その他の機材などでの検証が出来ていません。
パソコンとの接続だけでなく、他の機器との接続も今後検証していくつもりです。また新たに検証が出来たら、追加で記事にしたいと思います。
FJ-US108の動作確認の動画です
FJ-US108の製品情報
http://www.fj-gear.com/US108/show/217.html
USB分配器という特殊な機械ですが、うまく使えばいろいろな応用が出来ると思います。今回は一つのキーボードで複数のパソコンの同時入力ということをUSB分配器という側面から検証しました。
他にも方法がありますので、そちらも今後記事にしたいと思います。