Grass Valley T2-4Kの 8ch音声トラック付き動画素材の作り方

8ch音声トラック付き動画素材の作り方のタイトル

この投稿では、Adobe Premiere Proを使用してマルチチャンネルの音声トラックを持った動画素材の作り方をお知らせします。通常のステレオ音声(1ch L /2ch R )トラックよりも多い8ch音声トラックが付いた動画を作成し、Grass Valley T2-4Kに取り込みます。
また、この8ch音声トラック付きの動画はRoland PR-800HD/810HDでも8chのまま取り込むことができます。

通常、イベントやコンサートなどで使用する動画というものは、Lch、Rchの2ch音声トラック(ステレオトラック)の入った動画を使用することが普通なのですが、たまに2ch以上の音声トラックが必要な演出があるときがあります。
それは、サラウンドの音響演出や、日本語/英語/中国語などの複数の言語を同時に再生する時などです。
また、クリックやナレーションなどを別トラックで同時に再生したい場合などにも使用します。

イベント・ライブで標準的な動画プレーヤー Grass Valley T2-4K

Grass Valley T2-4Kのフロント側の写真
【イベントなどで使われているGrass Valley T2-4K】
T2-4Kの操作画面。録画1、再生1、再生2の設定時の画面
【T2-4Kの操作画面】

Grass Valley T2-4Kはイベントやコンサートで標準的に使用されている動画プレーヤーで、動作/運用に信頼性が高い業務用映像機器となっています。
入出力インターフェースは3G-SDIx4を備え、4K動画の再生だけでなく、HD(1080p/1080i)で同時3出力の再生もサポートしています。
T2-4Kは標準で8ch音声に対応していますので、取り込みをする動画素材を8ch音声付きで作成することで、T2-4Kで8ch音声出力が可能となります。

T2-4KのP1画面。8ch音声のレベルメーターが表示されている
【T2-4KのP1操作画面。8ch音声のレベルメータが表示されている】

今回はGrass Valley T2-4K向けに記事を書いていますが、Roland PR-800HD/810HDも8ch音声出力に対応していますので、この記事で作成した動画をPR-800HDに取り込みをしても8ch音声出力がされます。

8ch音声付き動画作成の大まかな流れ

動画作成には大まかに以下のような行程があります。

  • Premiere Proの起動
  • 新規プロジェクトの作成
  • 新規シーケンスの作成→音声トラックの設定
  • タイムライン上での動画トラック、音声トラックの編集
  • シーケンスの書き出し

※今回使用するAdobe Premiere ProはMac版の2020年7月リリース(Ver.14.3.1)のものを使っております。

Premiere Proの起動

今回はMac版のAdobe Premiere Proを使用しますが、Windows版でも同じことが出来ます。

Adobe Premiere Proを起動している画面
【Adobe Premiere Pro for Macの起動画面】

新規プロジェクトの作成

Adobe Premiere Proが起動すると、ホーム画面が現れます。

Premiere Proのホーム画面
【Premiere Proのホーム画面】

ホーム画面の左側にある「新規プロジェクト」ボタンを押します。

新規プロジェクトの設定画面
【新規プロジェクトの設定画面】

プロジェクトは特に変更する箇所は無いので、そのまま「OK」ボタンを押します。するとPremiere Proの基本画面が表示されます。

Premiere Proの基本画面
【Premiere Proの基本画面】

新規シーケンスの作成→音声トラックの設定

Premiere Proの基本画面。
メニューバーから「ファイル」→「新規」→「シーケンス」を選びます。

8chオーディオチャンネルの設定はこの新規にシーケンスを作成するときにだけ設定が出来ます。あとから設定を追加や修正が出来ません。
設定を間違えないように進みます。

メニューバーから新しいシーケンスを作成する
【新しいシーケンスを作成します】

新規シーケンスの設定画面が現れます。
シーケンスプリセットから「XDCAM EX」→「1080P」→「XDCAM EX 1080p30(HQ)」を選びます。

【新規シーケンスの設定画面】

シーケンスプリセットを選んだらトラックタブに移動します。
トラックタブでオーディオトラックの8Ch設定をします。

シーケンスのトラック設定。ビデオトラックとオーディオトラックの設定をします。
【トラックタブを選びオーディオの設定をする】

シーケンスプリセット「XDCAM EX 1080p30(HQ)」は、音声トラックはステレオトラックが3つあるので、「+」ボタンで1つ追加して、ステレオトラックが4つの設定(8ch)にします。

オーディオトラックを4つになるようにトラックを追加します。
【オーディオトラックを4つにする】

続いてオーディオの種類を「ステレオ」から「マルチチャンネル」に変更します。

シーケンスのオーディオ設定をステレオからマルチチャンネルに変更する
【ステレオからマルチチャンネルに変更】

チャンネル数も2chから8chに変更します。

オーディオチャンネルも2chから8chに変更する
【2chから8chに変更する】

4つのステレオトラックを出力の割り当ての設定をしていきます。

オーディオトラックの出力の割り当て設定。アイコンをクリックして各設定をしていきます
【アイコンをクリックすることで各設定が出来ます】

オーディオ1トラックから順番に出力の割り当ての設定をします。
アイコンをクリックすることで設定が出来ます。

オーディオ1トラックの出力チャンネルの割り当てをチャンネル1-2に設定する
【オーディオ1トラックの出力チャンネルの割り当て】

オーディオ1トラックチャンネルの設定は、チャンネル1-2にチェックを設定します。
同じようにオーディオ2、オーディオ3、オーディオ4のトラックの出力チャンネルの割り当てを設定します。

  • オーディオ1・・・チャンネル1-2
  • オーディオ2・・・チャンネル3-4
  • オーディオ3・・・チャンネル5-6
  • オーディオ4・・・チャンネル7-8
オーディオ4トラックの出力チャンネルを7-8に割り当てるところ
【オーディオ4トラックの出力チャンネルを7-8に割り当てる】

以上までの設定が終わりましたら、新規シーケンスの設定は完了しますので「OK」ボタンを押して、編集画面に進みます。

シーケンス設定後のPremiereの編集画面
【シーケンス設定後の編集画面】

タイムライン上での動画トラック、音声トラックの編集

動画ファイル、音声ファイルの取り込み

今回はサンプルとして、静止画(bmp)を1枚と、4つの音声ファイル(mp3)を読み込んで、8ch音声付き画像ファイルを作成します。

【素材を読み込みする】

素材の取り込み方法に関しては、詳しくは割愛させていただきます。

素材を読み込んだところ。静止画を1枚と、4つの音声ファイルを読み込みました
【素材を読み込んだところ】

タイムラインに素材を並べる

静止画(bmp)を1枚と、4つの音声ファイル(mp3)を読み込みました。
読み込んだ素材ファイルをタイムライン上に並べます。

素材をタイムラインに並べたところ。ビデオトラックに静止画を載せ、オーディオトラック4つに音声ファイルを載せた
【タイムラインに素材を並べたところ】

タイムライン上の素材の編集に関しては詳しくを割愛させていただきます。
大事なことは4つオーディオトラックに4つの音声ファイルが並べていることになります。

タイムラインを走らせてみてマルチチャンネルで再生されているかを確認する
【タイムラインを走らせて8ch音声を確認中】

タイムライン上に並べて、編集などが終わりましたら、シーケンスの書き出しをする行程に進みます。

シーケンスの書き出し

メニューバーからメディアに書き出しを選びます
【メデイアに書き出しします】

メニューバーから「ファイル」→「書き出し」→「メディア」を選んで書き出し設定を呼び出します。

8ch音声トラック付きの書き出し設定
【書き出し設定画面】

書き出し設定は以下のようにします。

8ch音声付き動画の書き出し設定。QuickTimeのProRes コーデックは8ch音声に対応している

形式・・・Quicktime
プリセット・・・Apple ProRes 422 HQ
オーディオ・・・ステレオ→8チャンネルに変更

以上の設定をしてから「書き出し」ボタンを押します。

Adobe Premiereはレンダリングを開始して素材を書き出しします。

書き出しされてレンダリングされた「シーケンス01.mov」ファイル
【書き出しでレンダリングされた動画データ】

「シーケンス 01.mov」が書き出しされました。

T2-4Kへの素材の取り込み

書き出しされた「シーケンス01.mov」をUSBメモリーにコピーして、T2-4Kに取り込みをします。

T2-4Kに取り込みするためにUSBメモリーを刺したところ
【素材をコピーしたUSBメモリをT2-4Kに取り込みする】

T2-4Kへの素材取り込みは、8ch音声トラック付き動画でも通常の取り込み作業と変わりません。
T2-4Kの内部では、Apple ProRes422コーデックからGrass Valley HQXコーデックに自動変換されます。

T2-4Kに取り込んだ8ch音声トラック付き動画をマウントして、8chで音声が再生するかを確認します
【取り込んだ素材をマウントして確認する】

これでT2-4Kへ8ch音声トラック付き動画の取り込みが完了しました。
取り込んだ素材をマウントして再生して、8ch音声に問題が無いかを確認します。

Roland PR-800HDで再生するかを検証しました

Roland PR-800HDに8ch音声付き動画を取り込み、再生したところ
【作成した動画をRoland PR-800HDで再生したところ】

作成した8ch音声付き動画をRoland PR-800HDに取り込みをして、再生をしました。PR-800HDでも問題なしに8ch音声再生が出来ました。

以上が素材の作成からT2-4Kへの取り込みまでとなります。
今回はステレオトラックを4つ作り、8ch音声として書き出しましたが、モノラルトラックを8つ設定して書き出すことも出来ます。
マルチチャンネル音声の一つのやり方と思ってご参考になればと思います。